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2014年3月23日 (日)

世界一安全な原発とは

安倍首相は原発再稼動に当って「世界一安全な原発」と盛んに発言してきた。そこで「世界一安全な原発」の要件は何だろうと、幾つかのキーワードで検索しても、単純明快に示されたものには行き着けなかった。しかし、現在のところ、廃炉が決まった原発を除く48基は種々対策を終えたとしても「世界一」とは言い難いようだ。

原発の安全性の数値基準として米国ではPRA(確率論的リスク評価)を1995年から厳格に実施している。日本でも確率論的安全評価(PSA)を使っているが、同じ意味である。安全神話のためにリスクなる単語を避けたのだろう。これ以前の1992年7月に通商産業省(現経済産業省)は電気事業者に規制的措置を要求せず、自主的な保安措置としてアクシデントマネジメントの整備を進めるよう要請した。東電はPSAを全プラントに対して実施し、1994年3月に通商産業省に整備方針を、その結果を2002年5 月に経済産業省に報告した。

福島第一原発事故後、2011 年3 月30 日付経済産業大臣指示文書「平成23 年福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた他の発電所の緊急安全対策の実施について(指示)」(平成23・03・28 原第7号)が発せられた。東電は2011年4 月21 日に「柏崎刈羽原子力発電所における緊急安全対策について(実施状況報告)」(緊急安全対策報告書)提出した。
(http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110421n.pdf)。緊急安全対策及び設備強化対策として、①緊急時の電源確保、②緊急時の最終的な除熱機能の確保、③緊急時のSFP の冷却確保、④各原子力発電所における構造等を踏まえた当面必要となる対応策の実施について報告し、2011年5 月2 日には,補正版を報告している。
更に6 月7 日付経済産業大臣指示文書に基づき,6 月14 日にその実施状況として,①中央制御室の作業環境の確保,②緊急時における発電所構内通信手段の確保,③高線量対応防護服等の資機材の確保及び放射線管理のための体制の整備,④水素爆発防止対策,⑤瓦礫撤去用の重機の配備について報告している。
しかし、原子力規制委員会になっても5年ごとにPRAの一部活用を検討するよう求めているが、原発の新規制基準には反映されていない。このように規制側が事業者の自主性に依存する限り、世界一の安全性が担保できるだろうか?

東電が提出した、
柏崎刈羽原子力発電所1号機における安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(2012年4月)
(http://www.meti.go.jp/press/2011/03/20120312005/20120312005-5.pdf)
柏崎刈羽原子力発電所7号機における安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(報告)(2012年3月)
(http://www.meti.go.jp/press/2011/03/20120312005/20120312005-6.pdf)
などを読むと、福島第1原発事故を受けて緊急安全対策及び設備強化対策が述べられているが
(1)アクシデントマネジメント実施体制のトップはを緊急時対策本部長(所長)になっており、福島事故で機能しなかった本社会長以下の役員やスッタッフの位置づけが明確でない。全社的に誰がいつ何をせねばならぬか、所長を支援する組織や機能があるか分からない。
(2)総責任者の所長が全システムに熟知し、事故時に総合指揮能力を有するか誰が判定するのだろう。何も出来なかった原子力・安全保安院の事務系院長のような所長なら事故を収束させる指揮は出来ないだろう。
(3)所内の実行部隊は何層か下の下請け作業者への依存体制のままなら、福島で起こった伝達ゲームが再発するだろう。
(4)各機器や装置が損傷を受けず動作することが前提のように見える。それらが動作しないときの対応になっているか疑問だ?

国会議員で構成される「原発ゼロの会」(http://genpatsuzero.sblo.jp/)(2014年1月24日現在、9党と無所属の衆参国会議員64名が参加)が危険度を採点して「原発危険度ランキング」を2012年9月に発表している。(http://saito-san.sakura.ne.jp/sblo_files/genpatsuzero/image/4%2920E585A8E58E9FE799BAE381AEE9858DE782B9E8A1A8.pdf
) この表で加圧水型原子炉(PWR)で第3世代は泊1~3号機、伊方3号機、玄海3~4号機の6基としている。沸騰水型では改良型(ABWR)が第3世代と言われ、柏崎刈羽6~7号機、浜岡5号機、志賀2号機の4基がこれに当る。第3世代と言っても安全性が大幅に向上している訳ではないようだ。
第2版の危険度ランキングのまとめと配点項目およびその基準を転載する。
2 Photo

この評価では炉型・格納容器への配点が低いと思う。さらに①テロや航空機墜落などの人為的なトラブル、②免震重要棟やベント、③防潮堤の有無、④ヨーロッパの第3世代に付くコアーキャッチャーの設置などが評価項目に入れていない。福島で機能しなかったように原発に余りにも近いオフサイトセンターはどうするのか。もっと項目を増やして評価しなおすべきだ。

世界の第3世代原子炉の安全対策には次のようなものがある。
 ①航空機の衝突や内圧に耐える、格納容器の外側に頑丈なシールド建屋(2層のコンクリート壁で厚さ2.6m)。
 ②安全系統は4重化、1~3年間、発熱量の3倍を冷却できる4種の独立した非常冷却用システムの設置。
 ③非常時に原子炉に注水する冷却水は、屋外タンクではなく、格納容器内に設置。
 ④建屋内で出火した場合には、耐火壁で隔離された内部の機器が全焼することを想定、原子炉を密封封じ込る。
 ⑤1万~10万年に1回の大規模地震を想定(世界で運転中の原発の半数以上)。
 ⑥炉心溶融対策の設備であるコアキャッチャーの設置(欧州の新設プラントに適用)。

コアキャッチャーに関する日本特許は日立が1992年10月出願の特願平4-281333には"コア・キャッチャー"なる用語が使われており、炉心溶融事故発生時に、格納容器の温度・圧力低下の追加設備が不要で動的荷重の発生がなく迅速に冷却できる原子炉設備を提供するとある。それ以降もシーメンスや東芝から多くの特許が出願され、コアキャッチャーは決して新しい技術ではない。

しかし、日本では一つも採用されていない。原発の製造者が安全対策を提供しても、電力会社が採用せねば、あるいは法的に義務付けねば使われることは無い。政府や規制当局が電力会社に要請する程度では上記、項目が実施されるはずはない。

各電力会社は再稼動に向けて原子力規制委員会に審査を申請し,審査が始まっている。同委員会が2014年2月に公表した「実用発電用原子炉に係る新規制基準」(http://www.nsr.go.jp/activity/data/20140214.pdf)を基に審査するだろう。
Photo_2

図のように確かに日本の福島第一事故以前の基準に比べれば強化されている。しかし、それが「世界一安全」レベルにあるか、多くの専門家から疑問を呈している。

安倍首相が使う「世界一安全な原発」は安全神話の再出発になる。仮に再稼動を強行するなら、世界の最高レベルの内、どんな安全対策が実施されておらず、どんなリスクがあるか、その対応をどうするか明らかにせねばならない。また、仮に重大な事故ななったとき福島のように誰一人自ら責任をとらないことの無いよう、政府や、電力会社の決定者がどのような責任をとるか明らかにせねばならない。


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